格安語学学校は指導レベルも低いか?:We Academy校長

フィリピン語学学校の中で学費が安く講師の指導レベルに定評があり、施設が非常にデラックスなイロイロWe Academy。学校長に電話インタビューで『学費が安ければ指導力も比例して劣るか?』という質問をぶつけてみました。
学費は工夫次第で大幅に抑えられる
正直非常に微妙なテーマですね。セブではなく私のように地方に学校を構える人間がこの問題にコメントすると誤解を招きかねます。私の学校We Academyを基準にしてできる限り率直にお話したいと思います。
まず先ほどの『学費が安ければ指導力も比例して劣るか?』の質問ですが答えは『否』です。
学費が安いのと指導レベルの高さはまったく別のものです。区別して考えなければなりません。これは今まで学校を運営してきて引き出した結論であり持論でもあります。学費が高いのに指導力が劣る語学学校はいくらでもあります。
学費が高い学校の講師の給与と同額の金額を与えたとしても施設や建物のレンタル費用で工夫すれば学費は抑えられます。
もうひとつ大きく抑えられる部分があります。エージェントに対するコミッション(紹介手数料)です。バコロドやイロイロの紹介手数料はセブに比べ10%ほど低いです。一人当たりですので月間で累積されるとかなり大きな金額になります。
紹介手数料が低いと留学エージェントは積極的にはわが校を顧客に紹介したがらないデメリットがあります。ですが学費が安くて良質な指導を確保するためには避けて通れません。
何故語学学校の学費に大きな差があるのか
語学学校の運営費用は大きく3つの固定費から構成されます。
- 建物賃料と施設維持費
- 講師の人件費
- 食費
この3つの固定費を調整する事は難しいです。そして固定費は学校の立地や大きさと関係してきます。
都市別で見るとセブ、マニラ、クラークの賃貸料が他より高いです。ですのでこれらにある語学学校の学費は高めになります。建物を所有している場合には学費を安く抑える事が可能です。
食費ですがこちらも物価が左右します。食べ物の物価が高い順番で行きますとセブ、マニラ、クラーク、バギオ、バコロド、イロイロの順序です。
そして焦点となる講師の人件費ですがこちらは地域にかかわらずそれほど差がありません。2005年の最低賃金規定を軸にセブ、バギオ、イロイロなど講師の平均賃金は似たような金額です。最低賃金は上位からマニラ、クラーク、セブと続きますが大きなものではありません。あっても20%くらいの差です。
わが校の2倍の学費を設定している学校でも講師の給料はあまり差がないと思います。わが校の講師人件費が占める経費の割合は40%です。
これはあまり人には話すべき事ではないですがわが校の純利益は10%で設定されています。セブの語学学校ですと少なくとも20%以上です。私は10%もあれば十分なのですが。(笑)
格安学校の誤解されやすいイメージ
学費が安い事はいい事ですが、格安なりにへんな先入観を持たれたりします。安いから何かあるのだろうという勘ぐりです。We Academyは建物が非常に立派で綺麗ですし、立地も便利です。ですがこればっかりは実際に見てもらわないとわかりにくい部分があります。実際に来てもらった卒業生たちの評判はいいです。リピーター率も50%以上です。口コミの評判は悪くないと思うのですが、コミッションが安い事もありエージェントがあまり宣伝してくれないのが痛いですね。やはり宣伝力なら圧倒的にエージェントが強いです。コミッションを低価格に設定した以上エージェントの期待はあまりできないのでもくもくと地道にやっていくしかないですね。
格安学校のメリット
学費を安く抑える事による消費者の最大のメリットは留学期間をより長く設定できる事。外国語を習得するためにはある程度時間が必要です。完全素人が1か月で英語をマスターするなど無理な話です。
セブで12週の費用があればわが校では20週滞在できます。あるいは同じ12週で小旅行や外食費用にかなりの余裕を持たせる事もできます。
格安学校は学費が張る学校に比べ足りない点も多いです。ただ留学生活自体にそれほど大きな支障がないのであれば、格安学校の賢い選択の一つです。
格安学校の留意点
格安学校はなかなか探しにくい、実態をつかみにくいというマイナス部分があります。直接運営にかかわる部分以外あまり人件費を使わないのでSEO対策、マーケット強化まで手が回りません。セブにはSEO対策のためだけに4人の専門家を雇用している語学学校があると聞いております。それと紹介手数料が少ないので留学エージェントもなかなか積極的に紹介をしてくれないのもつらい所です。
ウェブ上でフィリピン格安学校ランキングなどの紹介もありますが、消費者の希望を反映していないものが多いです。学費が安いという事1点に重点を置いている様に見えます。安くて指導力が高く、施設もいいという総合的な評価ではありません。
値段を安くしたので学生がすぐにとびつくという時代ではないです。『安かろう悪かろう』でない学校が増えている事をもっともっと発信していかなければならないですし、コミッションの金額ではなく教育内容で学校を紹介しているフィルイングリッシュのような留学エージェントがもっともっと頑張ってほしいです。
